ホリック(フィリア|フォビア):首絞め話 ※BL
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- 日時: 2012/01/10 01:05:50
- 名前: ヒ素
- ※ユーザの頭がおかしいです
※BLです
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とある日の夜更け、自宅近くまで帰りついたとき、家の窓から明かりが漏れていないのに気付いた。
めずらしい。 時間不定な勤務のシフトは教えてあるし、俺には外で飲む趣味も無いから、帰宅時間はあまりずれないのだ。 だから、帰りを待つ義弥は、どんな時間であれ、俺を待っている。
それが今日は無い。
玄関扉を開いて、呼びかける。 返事は無い。
居間まで行って明かりを付けてみれば案の定、ダイニングテーブルに突っ伏して義弥は寝ていた。
苦鳴をその口からかすかにもらしながら。
俺は溜め息をついた。 またか。
義弥が普段見せないこういう姿を見てしまうと、不快で仕方がない。 独占欲か、隠されていることへの不快感かはわからない。わかりたくもない。
「…や、めて、父さん、」
ああもうやけにはっきりした寝言だな。 起こそうかとも思うが、その後の対処が面倒で仕方がない。
「………オレには、もう、あのひとが、」
おまえ起きてるだろう? そう言いたいのを我慢しながら、表情をつくり、義弥の肩に手をかける。
「おい起きろ」 「え、…………あ、」
数秒の内に変わる義弥の表情の、焦りや怯えといった普段見られない表情。 それは誰が作りだしたのか、と思うともう、本当に、腹にすえかねた。
「ごめん寝ちゃってた、おかえり。カレー作ってあるから、温めるね」
俺の顔を見て何を判断したのか、何も無かったかのように義弥はふるまう。 それがもう、本当に不快で。
だから。 俺の横をすり抜けようとした義弥の肩を掴んで壁に押し付ける。もう一方の手で、喉の下あたりに手を当て、力をかける。 血流を止めない力加減。そんなものも、何度かやるうちに学んだ。 こういうことをしても、義弥は抗わない、ということも。
実際、義弥の手は首を絞めている俺の腕に添えられているが、それだけだ。引きはがそうとするそぶりは一切ない。 責めるような表情を浮かべてはいる が、この青年がまともであるはずもなくて。
「首、絞めて欲しそうな顔してたから」 「…ん、なわけ、……なっ……」 「じゃあなんで興奮してるのかな」
言いながら、足の間を膝で押し上げてやると、思った通りそこはわずかに反応していた。 そのままぐりぐりと圧迫し、言葉を事実にする。 声をあげて身をよじる義弥のさまが愉快でたまらなくて、思わず笑った。 笑いすぎて、首を絞める手を離してしまうほどに。 義弥は逃げるでもなく壁に体重を預け、咳こみながら息を整えてつぶやく。
「……何がそんなにおかしいの」 「義弥は本当に馬鹿だなあ、って」 「っ、馬鹿なのは、(ユーザ)だよ!」
それ以上の反論は許さないとでも言うかのように、義弥は俺の胸倉を掴んでずかずかと歩く。 なされるがままにしてみれば、ソファに押し倒された。
「俺、帰ってきたばっかりなんだけど」
実際、疲れているし腹も空いている。
「オレは目が覚めたばっかりだった、よ」
義弥はにこりと笑った。 実に彼らしい笑顔で、それは別にいいのだが、しばらく前――義弥に不覚をとったあの時――のような寒気を感じた。 その一瞬で圧し掛かられ、唇を舐められる。
「ひとりで済ませなさい……むぐ」
言うだけはしておくが、まあ、無理だろう。 俺は諦めて義弥の相手をしてやることにした。
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続かない
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